瑕疵担保とは?、その範囲と内容について

 更新日/2020(令和2)年7月15日 

【民法に於ける瑕疵担保責任およびその関連規定】
 民法第95条(錯誤)
 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
 民法第415条(債務不履行による損害賠償)
 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
 民法第533条(同時履行の抗弁)
 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
 民法第560条(他人の権利の売買における売主の義務)
 他人の権利を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
 瑕疵担保責任は、民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)、民法第570条(瑕疵担保責任)に定められている。これを確認しておく。
 民法第566条(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時から一年以内にしなければならない。
 民法第570条(担保責任を負わない旨の特約
 売買の目的物に隠れたる瑕疵ありたるときは第566条〔用益的権利・留置権・質権がある場合の担保責任〕の規定を準用す。但し強制競売の場合はこの限りにあらず。
 ここで云う「瑕疵」の語彙的解釈は、「隠れた瑕疵、即ち通常人が取引上一般に要求される程度の注意をもってしても認識、知見することができない瑕疵をいう」と解されている。法律的には「物が通常有すべき品質・性能を欠くこと」と定義づけられている。これによれば、買主が知っている場合とか、通常の注意をもってすれば知り得た瑕疵は瑕疵担保に当らず担保責任を追及することができない。なお、瑕疵担保責任は瑕疵を知ったあと1年以内に損害賠償や契約解除をしなければならない。
 民法第572条(瑕疵担保責任)
 売主は、第560条から前条までの規定による担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実および自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。
 民法第634条(請負人の担保責任)
 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。
 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。
 民法第709条(不法行為による損害賠償) 
 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

【宅建業法に於ける瑕疵担保責任の規定】
 第37条の2()

 宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができない。
 買受けの申込みをした者又は買主(以下この条において「申込者等」という。)が、国土交通省令・内閣府令の定めるところにより、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について告げられた場合において、その告げられた日から起算して八日を経過したとき。
 申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払つたとき。
 申込みの撤回等は、申込者等が前項前段の書面を発した時に、その効力を生ずる。
 申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければならない。
 前三項の規定に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とする。
 第38条 (損害賠償額の予定等の制限)

 宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
 前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
 第39条(手附の額の制限等)

 宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二をこえる額の手附を受領することができない。
 宅地建物取引業者が、みずから売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは、その手附がいかなる性質のものであつても、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手附を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。
 宅建業法40条(宅地建物取引業者が自ら売主となる場合の瑕疵担保責任特約の制限)

 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し、民法第570条において準用する同法第566条第3項に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。
 前項の規定に反する特約は、無効とする。 
 第41条(手付金等の保全)

 宅地建物取引業者は、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前において行う当該工事に係る宅地又は建物の売買で自ら売主となるものに関しては、次の各号のいずれかに掲げる措置を講じた後でなければ、買主から手付金等(代金の全部又は一部として授受される金銭及び手付金その他の名義をもつて授受される金銭で代金に充当されるものであつて、契約の締結の日以後当該宅地又は建物の引渡し前に支払われるものをいう。以下同じ。)を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の百分の五以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
 銀行その他政令で定める金融機関又は国土交通大臣が指定する者(以下この条において「銀行等」という。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務を負うこととなつた場合において当該銀行等がその債務を連帯して保証することを委託する契約(以下「保証委託契約」という。)を締結し、かつ、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付すること。
 保険事業者(保険業法 (平成七年法律第百五号)第三条第一項 又は第百八十五条第一項の免許を受けて保険業を行う者をいう。以下この号において同じ。)との間において、宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務の不履行により買主に生じた損害のうち少なくとも当該返還債務の不履行に係る手付金等の額に相当する部分を当該保険事業者がうめることを約する保証保険契約を締結し、かつ、保険証券又はこれに代わるべき書面を買主に交付すること。
 前項第一号の規定による保証委託契約は、銀行等が次の各号に掲げる要件に適合する保証契約を買主との間において成立させることを内容とするものでなければならない。
 保証債務が、少なくとも宅地建物取引業者が受領した手付金等の返還債務の全部を保証するものであること。
 保証すべき手付金等の返還債務が、少なくとも宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでに生じたものであること。
 第一項第二号の規定による保証保険契約は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 保険金額が、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)に相当する金額であること。
 保険期間が、少なくとも保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であること。
 宅地建物取引業者が、第一項に規定する宅地又は建物の売買を行う場合(同項ただし書に該当する場合を除く。)において、同項第一号又は第二号に掲げる措置を講じないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。
 宅地建物取引業者は、次の各号に掲げる措置に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する買主の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各号に掲げる措置に準ずるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるものを講じることができる。この場合において、当該国土交通省令・内閣府令で定める措置を講じた者は、当該各号に掲げる措置を講じたものとみなす。
 第一項第一号に掲げる措置のうち、当該保証委託契約に基づいて当該銀行等が手付金等の返還債務を連帯して保証することを約する書面を買主に交付する措置
 第一項第二号に掲げる措置のうち、保険証券に代わるべき書面を買主に交付する措置
 第41条の2()

 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買(前条第一項に規定する売買を除く。)に関しては、同項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じた後又は次の各号に掲げる措置をいずれも講じた後でなければ、買主から手付金等を受領してはならない。ただし、当該宅地若しくは建物について買主への所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき、又は当該宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等があるときは、その額を加えた額)が代金の額の十分の一以下であり、かつ、宅地建物取引業者の取引の実情及びその取引の相手方の利益の保護を考慮して政令で定める額以下であるときは、この限りでない。
 国土交通大臣が指定する者(以下「指定保管機関」という。)との間において、宅地建物取引業者が自己に代理して当該指定保管機関に当該手付金等を受領させることとするとともに、当該指定保管機関が、当該宅地建物取引業者が受領した手付金等の額に相当する額の金銭を保管することを約する契約(以下「手付金等寄託契約」という。)を締結し、かつ、当該手付金等寄託契約を証する書面を買主に交付すること。
 買主との間において、買主が宅地建物取引業者に対して有することとなる手付金等の返還を目的とする債権の担保として、手付金等寄託契約に基づく寄託金の返還を目的とする債権について質権を設定する契約(以下「質権設定契約」という。)を締結し、かつ、当該質権設定契約を証する書面を買主に交付し、及び当該質権設定契約による質権の設定を民法第四百六十七条の規定による確定日付のある証書をもつて指定保管機関に通知すること。
 前項第一号の規定による手付金等寄託契約は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
 保管される金額が、宅地建物取引業者が受領しようとする手付金等の額(既に受領した手付金等で指定保管機関に保管されていないものがあるときは、その保管されていないものの額を加えた額)に相当する金額であること。
 保管期間が、少なくとも指定保管機関が宅地建物取引業者に代理して手付金等を受領した時から当該手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であること。
 第一項第二号の規定による質権設定契約は、設定される質権の存続期間が、少なくとも当該質権が設定された時から宅地建物取引業者が受領した手付金等に係る宅地又は建物の引渡しまでの期間であるものでなければならない。
 宅地建物取引業者は、第一項各号に掲げる措置を講ずる場合において、既に自ら手付金等を受領しているときは、自ら受領した手付金等の額に相当する額(既に指定保管機関が保管する金銭があるときは、その額を除いた額)の金銭を、買主が手付金等の支払をする前に、指定保管機関に交付しなければならない。
 宅地建物取引業者が、第一項に規定する宅地又は建物の売買を行う場合(同項ただし書に該当する場合を除く。)において、前条第一項第一号若しくは第二号に掲げる措置を講じないとき、第一項各号の一に掲げる措置を講じないとき、又は前項の規定による金銭の交付をしないときは、買主は、手付金等を支払わないことができる。
 宅地建物取引業者は、次の各号に掲げる措置に代えて、政令で定めるところにより、第一項に規定する買主の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各号に掲げる措置に準ずるものとして国土交通省令・内閣府令で定めるものを講じることができる。この場合において、当該国土交通省令・内閣府令で定める措置を講じた者は、当該各号に掲げる措置を講じたものとみなす。
 第一項第一号に掲げる措置のうち、当該手付金等寄託契約を証する書面を買主に交付する措置
 第一項第二号に掲げる措置のうち、当該質権設定契約を証する書面を買主に交付する措置
 第42条(宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限)

 宅地建物取引業者は、みずから売主となる宅地又は建物の割賦販売の契約について賦払金の支払の義務が履行されない場合においては、三十日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し、その期間内にその義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除し、又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができない。
 前項の規定に反する特約は、無効とする。
 第43条(所有権留保等の禁止)

 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合には、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けていない場合にあつては、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、買主が、当該宅地又は建物につき所有権の登記をした後の代金債務について、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の割賦販売を行なつた場合において、当該割賦販売に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。
 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該宅地又は建物を買主に引き渡すまで(当該宅地又は建物を引き渡すまでに受領した代金の額から当該保証に係る債務で当該宅地又は建物を引き渡すまでに弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえていない場合にあつては、受領した代金の額から当該保証に係る債務で弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえるまで)に、登記その他引渡し以外の売主の義務を履行しなければならない。ただし、宅地建物取引業者が当該保証債務を履行した場合に取得する求償権及び当該宅地又は建物につき買主が所有権の登記をした後の代金債権について、買主が、これを担保するための抵当権若しくは不動産売買の先取特権の登記を申請し、又はこれを保証する保証人を立てる見込みがないときは、この限りでない。
 宅地建物取引業者は、みずから売主として宅地又は建物の売買を行なつた場合において、当該宅地又は建物の代金の全部又は一部に充てるための買主の金銭の借入れで、当該宅地又は建物の引渡し後一年以上の期間にわたり、かつ、二回以上に分割して返還することを条件とするものに係る債務を保証したときは、当該売買に係る宅地又は建物を買主に引き渡し、かつ、受領した代金の額から当該保証に係る債務で弁済されていないものの額を控除した額が代金の額の十分の三をこえる額の金銭の支払を受けた後は、担保の目的で当該宅地又は建物を譲り受けてはならない。
 47条〔宅地建物取引業者が自ら売主となる場合の瑕疵担保責任特約の制限〕
 業者の立場で知った重要事項は説明しなければならない。
 第78条(適用の除外)
 この法律の規定は、国及び地方公共団体には、適用しない。
 第33条の2及び第37条の2から第43条までの規定は、宅地建物取引業者相互間の取引については、適用しない。
 第78条の2(権限の委任)
この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。《追加》平11法160
 この法律に規定する内閣総理大臣の権限(政令で定めるものを除く。)は、消費者庁長官に委任する。


【住宅の品質確保の促進等に関する法律に於ける売主の新築住宅の瑕疵担保責任規定】
 
 住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条(新築住宅の売主の瑕疵担保責任の特例)
 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時(当該新築住宅が住宅新築請負契約に基づき請負人から当該売主に引き渡されたものである場合にあっては、その引渡しの時)から十年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の隠れた瑕疵について、民法第570条において準用する同法第566条第1項 並びに同法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任を負う。この場合において、同条第1項 及び第2項 前段中「注文者」とあるのは「買主」と、同条第1項 中「請負人」とあるのは「売主」とする。
 前項の規定に反する特約で買主に不利なものは、無効とする。
 第1項の場合における民法第566条第3項 の規定の適用については、同項 中「前二項」とあるのは「住宅の品質確保の促進等に関する法律第95条第1項」と、「又は」とあるのは「瑕疵修補又は」とする。
 第97条(瑕疵担保責任の期間の伸長等の特例)
 住宅新築請負契約又は新築住宅の売買契約においては、請負人が第94条第1項に規定する瑕疵その他の住宅の瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間又は売主が第95条第1項に規定する瑕疵その他の住宅の隠れた瑕疵について同項に規定する担保の責任を負うべき期間は、注文者又は買主に引き渡した時から二十年以内とすることができる。

【瑕疵担保責任とは】
 不動産売買のときに気をつけること~瑕疵(かし)担保責任とは?」参照。
 「瑕疵担保責任における「瑕疵」の定義

 不動産売買契約に於ける「瑕疵担保」の「瑕疵」とは、「通常有するべき品質・性能を備えていないこと」を表現しており、「かし」と読む。「きず」とか「欠陥」、「欠点」という意味である。例えば、家のなかに「雨漏り」があれば、通常、建物に「瑕疵」があると認められる。また、地中埋設物がたくさん土地の中に残っていて、購入目的だった建物が建てられないなどの事情があれば、「土地」に「瑕疵」があると認められる。

 「瑕疵」の判断基準

 「瑕疵」があるかどうかは、一般的抽象的に判断できるものではなく、契約内容と目的物の性質に応じて個別具体的に判断されなければならないとされている。例えば、購入した土地の地中に、昔、解体された建物の基礎の残骸が残っていたとすると、土地の「瑕疵」にあたると判断される場合がある。逆に、「瑕疵」にあたらないと判断される場合もある。中高層マンション建築の為の売買において、「基礎の残骸」の存在によって予定通り建築できないとなれば、「瑕疵」があると判断される可能性が高くなる。他方、「基礎の残骸」があっても、戸建て住宅を建てる為の売買であって、予定通り建築できるとなれば、「瑕疵」はないと判断される可能性がある。

 「隠れた」瑕疵とは?

 買主が売主に対し「瑕疵担保責任」を追及するためには、「隠れた」瑕疵であることが必要である。「隠れた」とは、まず、売買契約の時に、買主が、欠陥(瑕疵)の存在を知らなかったことを要件とする。買主が欠陥を知りながら買ったならば、欠陥を承知のうえでの売買なので、後で買主が売主に責任を追及できるのはおかしいことになる。次に、「隠れた」とは、買主が欠陥の存在を知らないことに過失がなかったことを要件とする。買主が、社会通念上期待される通常の注意を払っても発見できなかった欠陥(瑕疵)であることが必要である。

 瑕疵担保責任の「期間」に注意

 不動産売買契約書に、瑕疵担保責任の条文が記載されている場合は、その条文が契約内容になっているので、よく中身を理解しておくことが必要である。行使する「期間」にも注意が必要で、例えば、「売主は、~引渡し完了の日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり責任を負う」と規定されている場合は、「3ヶ月以内」に請求をしなければ後で行使することができなくなってしまう。

 「瑕疵担保責任」は「無過失責任」

 売主が負う「瑕疵担保責任」は「無過失責任」と言われている。買主が売主に対し「瑕疵担保責任」を負うように求めてきた場合、売主がいくら「自分はこれだけ注意を払って売ったんだ」、「売った自分に、不注意とか過失はなかった」などと主張しても、「瑕疵担保責任」を負うことを免れることはできない。

 「瑕疵担保責任免除特約」

「瑕疵担保責任」は売主の無過失責任なので売主にとって負担となる。そこで、売主が負担を負いたくないと考え、買主も「売主に負担を負わせなくても構わない」、「瑕疵担保責任を売主に請求できなくてよい」と考えれば、そのように双方で合意することも自由である。売主と買主との契約時に「売主は買主に対し瑕疵担保責任を負わなくてよい」と合意することを「瑕疵担保責任免除特約」などと云う。この責任免除特約は売主にとって負担が軽くなるで、売主はなるべく契約書のなかに入れたい条項であるが、他方、買主からすれば、問題となるような瑕疵がないならば、瑕疵担保条項が入っても売主は実際に困らないではないか、という考えもあり、結局は、免除特約を入れるか入れないかは、買主・売主の考えがどこで一致するかによる。

 「瑕疵担保責任免除特約」があっても売主が責任を負う場合とは?

瑕疵担保責任免除特約を買主・売主の双方で合意しても、次のような場合は、売主はなお責任を負うとされている。一つは、瑕疵担保責任免除特約を合意して契約したが、判明した瑕疵が「当事者の予想する範囲」を明らかに超えていて、このような「瑕疵」まで「責任免除」するというのは当事者の合理的な意思からしてもおかしいであろうという場合である。このような理屈で、売主の責任を認めた裁判例がある。もう一つ重要なことは、売主が買主に対し瑕疵の存在を「知りながら告げなかった」場合である。民法572条にも同じことが書いてある。買主も瑕疵担保免責特約に合意したけれども、売主が瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかったような「信義に反する」場合には売主の「免責」は認めない、という趣旨である。