1981年6月以前に建設された旧耐震マンション(築35年以上)と、そのさらに前の1971年以前に建てられた旧々耐震マンション(築45年以上)。日本全国で、旧耐震は約106万戸、旧々耐震は約18万個が現存している。両者を合わせた数は多い順に東京、神奈川、大阪、千葉、兵庫、埼玉、愛知。東京には旧耐震が36万戸、旧々耐震が7万戸現存する。世田谷区や渋谷区、港区、新宿区など人気住宅地とされる地域に多い。都下に目を移せば多摩ニュータウンに代表される大規模団地を抱える多摩市や八王子市、町田市に多く残る。
老朽化したマンションの不利益を被るのは、当該マンションの住民たちだけではない。マンションの外壁コンクリートが剥がれて歩道への落下事故が全国各地で起こっている。2009年、沖縄県浦添市の住宅街にある築35年(当時)の老朽化マンションで、長さ約15メートルの廊下が崩落する事故が起きている。管理組合がきちんと機能し、定期的な検査や保全が行われていれば事前に対策の打てた事故だった。こうした管理組合の機能不全に加えて、外国人の賃貸利用者増加が「スラム化」に拍車をかけるケースもある。
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