【通行地役権について】 |
「地役権って何? 登記は必要? 注意点は? わかりやすい地役権の基礎知識」その他参照。 |
地役権とは、「一定の目的のために、その目的の範囲内で、他人の土地を自分の土地のために利用する権利」のことを云う。これを通行地役権と呼ぶ。地役権とは、一定の目的の範囲内で、他人の土地(承役地)を自分の土地(要役地)のために利用する物権のことを云う。このとき、通行するために他人の土地を利用する側の土地を「要役地」、利用される側の土地を「承役地」と呼ぶ。関連する民法条文は次の通り。
民法第280条 |
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第三章第一節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。 |
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Aの土地を要役地、Bの土地を承役地という
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地役権の契約は、要役地と承役地の所有者の合意によって行われる。その地役権は登記を基本とする。「登記をしないと、売買などで承役地の土地所有者が変わった場合、それまでの合意内容を新所有者に対抗できない」ことによる。登記をしておけば、要役地・承役地とも次の所有者は(期限内であれば)引き続き設定されている内容を順守しなければならないことになり、争いを防ぐことができる。地役権だけを売買するなど、要役地と切り離して地役権を処分することはできない。 |
地役権の登記で必要になる主な書類は下記の通り。
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登記原因証明情報 |
当事者の合意内容をまとめた契約書など |
登記識別情報
(登記済証) |
登記簿上に記載されている土地が、承役地の所有する土地であることを示す書類 |
本人確認情報 |
運転免許証等 |
印鑑証明書 |
3カ月以内のもの(承役地の所有者) |
地役権図面 |
承役地のどの部分に地役権を設定するのかを示した図面 |
代理権限証明情報(委任状) |
司法書士などに依頼する場合に必要 |
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登記簿に記載されていなくても、長年使用することで地役権が認められる場合がある。「使用する側が自ら道路を敷き、10年か20年間(使用者の善意、悪意により異なります)継続的に使用し続けていた場合、時効によって地役権を取得できる」。これを「地役権の時効取得」と云う。逆に、地役権が消滅する時効がある。「地役権の行使を妨げる事実が生じたときから20年で地役権が消滅する」。この行使を妨げる事実とは、例えば通行地役権の場合、合意した通行部分に建物が建つ等、事実上通行できない事実が生じたかどうかで判断する。これを「地役権の消滅時効」と云う。
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地役権の設定は、例えば、公道と自分の土地の間にある他人の土地(私道)を通行したり、用水路から自分の土地まで水を引くなどの目的で行う。他にも、電力会社が高圧線の下にある土地に地役権を設定し、一定以上の高さの建物の建築を制限するケースもある。最近は、眺望や日照の確保のために地役権を設定するケースもある。 |
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