電力会社の高圧送電線地役権について

 更新日/2020(令和2).6.12日

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電力会社の高圧送電線地役権について
 「地役権とか区分地上権の確認のお漏らしに要注意!!」。

 電力会社が、該当土地の上空に送電線を通すために地代を支払った対価として地役権設定している場合、これを不動産取引における契約書にどう書き込むのか。

 民法第280条(地役権の内容)「地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する」。但し、第3章第1節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る)に違反しないものでなければならない。地役権設定で、利用する側の土地を「要役地」、利用される側の土地を「承役地」と云う。すべてのケースで対価の授受があるわけでもなく、必ずしも登記されているわけでもない。電力会社の地役権設定の目的欄には次のように書かれている。

 「電線路を架設すること。電線路の保守、改良、増架、再設(支持物の種類変更を含む)、撤去等のため、立ち入り工事を施工すること。電線路の支障となる建造物の築造、樹木等の植栽、土地の形状変更をしないこと」。

 相続税の申告をする際に評価対象地に地役権が設定されておれば、評価減の可能性がある。財産評価基本通達で定められた評価減は次の通り。

 財産評価基本通達27−5(区分地上権に準ずる地役権の評価)「区分地上権に準ずる地役権の価額は、その区分地上権に準ずる地役権の目的となつている承役地である宅地の自用地としての価額に、その区分地上権に準ずる地役権の設定契約の内容に応じた土地利用制限率を基とした割合(以下「区分地上権に準ずる地役権の割合」という。)を乗じて計算した金額によつて評価する。この場合において、区分地上権に準ずる地役権の割合は、次に掲げるその承役地に係る制限の内容の区分に従い、それぞれ次に掲げる割合とすることができるものとする。(平3課評2-4追加、平6課評2-2改正)(1) 家屋の建築が全くできない場合 100分の50又はその区分地上権に準ずる地役権が借地権であるとした場合にその承役地に適用される借地権割合のいずれか高い割合(2) 家屋の構造、用途等に制限を受ける場合 100分の30」。 

 固定資産税評価の世界では、相続税の財産評価基本通達と同様の奥行価格補正や間口狭小補正、奥行長大補正、不整形地補正等のほか、それぞれの地域の価格事情を踏まえた「所要の補正」というものをそれぞれの自治体が定めている。送電線路の設置の有無などは、自治体によっては、この「所要の補正」により固定資産税評価額の算定の過程ですでに減額補正されているケースがある。財産評価基本通達25-2は、固定資産税評価額にその利用価値の低下が反映されているものにまで地役権設定による減額補正は(重ねて)しないとしている。

 ①高圧線の下にある土地の評価 

 高圧線(電気設備に関する技術基準を定める省令(平成9 年通商産業省令第52 号)第2条に規定する特別高圧の電線をいう)の下にある土地については、通常の用途に供することができない部分があるためその利用価値が著しく低下していると認められるため、その面積に占める高圧線のある部分(「電気設備の技術基準の解釈」第97 条及び106 条に規定する離隔距離の範囲内とする)の投影面積の割合(「投影面積割合」という)に応じて、次に定める補正率表により求めた補正率によって、その評点数を補正することができる。なお、電圧その他の事情により、極度に利用上の障害がある場合にあっては、さらに10 パーセント以内の評点数を控除することができる。 

・「電圧その他の事情」とは、次に該当するものをいう。

 A 電圧の高さB 地表から電線までの距離、C 土地に占める電線の位置、D 地積、E 地役権その他の用益権の設定契約の内容、F その他。 

・「極度に利用上の障害がある場合」の判定にあたっては、都市計画法の用途地域、地区、建築基準法の延べ面積の敷地面積に対する割合(容積率)、建築面積の敷地面積に対する割合(建ぺい率)及び周辺土地の標準的な利用状況等を考慮すること。